【拝啓金澤市長】12市町村合併はなぜ破綻したか | マニフェストを提案する弘前市民の会

【拝啓金澤市長】12市町村合併はなぜ破綻したか

12市町村合併がなぜ破綻したか。その理由には黒石市の財政事情や在任特例の問題などの障害が指摘されるが、私は在任特例にあると考えている。財政問題は一自治体の問題として片付けるのではなく、合併地域全体の問題として取り組むべきだった。

黒石市のこみせ通り、良質の温泉は観光資源として魅力的である。何より歴史的には津軽藩がお取り潰し寸前だったとき、黒石藩の初代津軽信英公が信政の後見人になることでなんとか免れた経緯がある。弘前と黒石とは深い歴史的つながりがあるのだ。

問題は在任特例だが、香川県観音寺市は、在任特例をあえて使わず、合併後50日以内の市議選によることを決断した。それによって広域合併を成功させた。こうしたことがなぜ金澤市政においてできなかったのかと言えば、金沢氏に在任特例不採用をまとめあげるだけの能力がなかったためとしか言いようがない。

在任特例はほとんどの合併市町村で採用されるが、その理由の多くが人口規模の小さい地域の声が反映されづらくなることに対する配慮である。しかし在任特例を採用しない自治体は、それを地域自治区のような、住民自治を強化する地域内分権の手法を採用してカバーする例が多い。相馬村・岩木町・弘前市の三市町村合併においては、この地域自治区の採用について真剣に議論した形跡が無い。在任特例があるうちはいいが、特例が切れた後のことさえ考えていないのである。

これから先、弘前市は再び広域合併を考える機会があるだろう。そのとき、金澤市政がそのまま続くことになれば、やはり在任特例の問題で躓くだろうことは十分予想できる。実績を強調する金沢氏だが、残念ながら私の目から見れば誇るべき実績など見当たらないのである。むしろ実績よりも『○○問題』などと、「問題」の二文字がつくことの方が多い。


マニフェストを提案する弘前市民の会 上田 勝